古城、ローレライの岩といった背景に、祖父母世代の悲恋と名画が絡み、ヒーローの重々しさも加味されて、とても重厚感のある作品です。 結ばれなかった男女の思いが死ぬまで続くというところが、ちょっと引くというか？ その故人達の思いの強さによって、孫達が結ばれたのかと勝手に想像して、勝手に怖がっている私です。笑 ともあれ、奥行きがあり読み応えがありました。

ヒーローは金持ちでイケメンなだけが取り柄の平凡な男。 ヒロインに傲慢な物言いをするのだけど、姉をアバズレと決めつけた理由が後でわかり、まぁ納得。 最後にヒロインをちゃんと理解して、暴言を謝罪するので溜飲は下がります。 ヒロインは、思慮深く、愛情深く、人物も立派。 分をわきまえているけど、頑なになり過ぎずバランスが良い。 泣く泣く手放した甥と再会して、ヒロインがそっと涙するシーンや、ヒロインが生い立ちや姉との絆を淡々と語るシーンには泣けます。 ストーリーは秀逸だと思うのに、地味な表紙のせいか過小評価されてる気がするので、平均値を上げるため星５つです！

親に愛されず、結婚相手を選ぶ自由もなく、夫に愛されず、病に侵され、子供の将来が心配。 ヒロインは若いのに悲惨な運命を受け入れ、自分にできる最善を尽くそうとする、覚悟のできた女性。 愛がないなら居なくなると、傲慢なヒーローに最初からわからせたので、末長く大切にしてもらえると思います♡

世間の噂とは正反対の二人が出会って、相手の本質を自分で見極めるところが面白いです。 みんなの人気者より、自分だけに相手の価値が見出せる相手と結ばれる方が、ずっと素敵だし末永く幸せになれそう。 真実を見抜く眼力があった二人だから、事件の解決にも一役買えたのでしょう。 悪人が闇へと葬られるのが許されるのも、ヒストリカルの醍醐味かな。

名前を呼んだら遠くからでも助けに来てくれるなんて素敵。 究極のおとぎ話なのだけど、透視できる人は実在するので、あり得る話なのかな。 言葉に出さなくても、思っていることが相手に通じるのって、心がキレイじゃない自分には恥ずかしい。 けど、テレパシーで会話するのは、永遠の憧れです。

素敵な話なのに、陳腐な題名を付けられて、作家さんがかわいそうだと思いました。 「熱」は間違いではないけど、この邦題だと、尻軽女が男を追いかけ回す話かなと連想してしまいます。 ストーリーは真逆で、堅物ヒーローが徹底的にヒロインを追いかけます。 芸術家のヒロインが、見るからに堅実そうなヒーローを初対面でからかったり、相手にどう思われようと弁解もしないで打っちゃっておくところとか、好きです。 ヒーローのトラウマをヒロインが溶かす話が多いハーレですが、この話は逆で、ヒーローの猛アタックを拒絶した後に、ヒロインが愛に気付きます。

何度でも読みたい。 シークレットベビー物のシチュエーションどおり、貧乏ヒロインと富豪ヒーローなんだけど、ヒロインがとても賢く愛情深く、常に主導権を握っているところが他と違います。 愛の表現を知らないヒーローに、心の中の愛を気付かせるのは他と同じ。 だけど、ヒーローの心の声も書いてあるので、矛盾したことを言ってしまうヒーローにも納得できてハピエンになるので、満足感が高いです。

三つの願いが叶うとしたらどうする？ しょうもない願いをして後で後悔するなんてことはありそうだけど。 ヒロインの願いはどれも賢く素晴らしい！ 特に最後の願いは愛に溢れていて、これを持って自分のことしか見えていないヒーローとの格の違いがハッキリしてしまうんだよね。 こんなちっちゃい男でいいの？とも思うけど、ヒロインが好きならいいんだろうね。

ハローナは過酷な生い立ちにも関わらず真っ直ぐに育って幸せになり、いとこのキャンディスは甘やかされて育ち犯罪者になってしまった。 爺さん譲りの邪悪な心を戒める大人がいなかったのは、彼女にとって不幸なこと。 最初はヒロインが健気でかわいそうで泣いたけど、読み返してみたら本当にかわいそうなのはキャンディスだと思った。 美人で金持ちでも心がひん曲がってたら幸せになれない。 爺さんは、キャンディスの意地の悪さが自分とそっくりなのが可愛かったのだろうけど、自分と同じく牧場を愛してるのはハローナだと最後になってわかるんだね。 キャンディスにしてみれば、好きな男を取られただけでも悔しいのに、遺産の取り分でもハローナに負けて、味方だったはずの爺さんにも裏切られた気持ちだろうな。 子供の時にちゃんとカウンセリングを受けさせてあげてれば、まともになれただろうに、大人になってからでは取り返しがつかない。

この作家さんの描く憂いのあるヒーローと、自分の分をわきまえているヒロインが好きです。 心の揺れを表すかのように、何度も２人の住む田舎と都会を行ったり来たりします。 つまらない誤解や行き違いではなく、本当の心の葛藤が描かれているので奥が深く、何度も読み返してしまいました。 記憶がなくなっても、やっぱり同じ人と恋に落ちるなんてステキですね。 弟君は、本人は自覚してないようだけど、要所で当て馬役やってくれて良い味出してました。

異次元世界に紛れ込んだような、ユニークで面白い作品です。 人物が初登場するたびにインパクトがあって、緊張感がすごい。 なぜこの面相なのか？と問いたくなる脇役の、お手伝いさんとかスパイとか。作者さん遊んでる？ いえ失礼。めちゃめちゃ力を入れて１枚１枚、絵のように描かれています。 最初は冷たかったヒーローが、最後は愛情深い頼もしい男になってました。

今は落ちぶれたお嬢様が、かつてやむなく別れた恋人の、成り上がりで成功したヒーローと再開する話。 その手の話によくある醜い復讐劇にはならず、2人の理性と心の強さによって、辛抱強く着実に、失われた幸福を取り戻していくストーリーが素敵でした。 意地を張って本心を言わないとか、愛情の裏返しに酷い扱いをするとかの茶番がなくて、自分的にはとても入り込めるお話でした。

ヒロインが、ただただ嫉妬に狂うだけのお話で、あまりにもアホらしいので、思わずレビューを書いてしまいました。 セレブヒロインが政略結婚するのはまあわかるとして、努力して何かをするわけでもなく、人のために尽くすわけでもなく、働かずただ消費するだけの魅力のない人です。 容姿が良いので愛されただけの、中身凡人。 この人がどうなろうと別にどうでもいいよ、好きにしてって感じです。

誤解したヒーローが酷い言葉をヒロインに投げつけるのは、HQおきまりのパターンなんですが、それに対抗するヒロインの行動がメチャクチャかっこいいです。 「魔笛」の「夜の女王のアリア」は、女の怖さと歌手の凄さが良く表れる歌なので、ヒロインの怒りを伝えるのには本当に効果的です。簡単に自分のものになる狡猾なクラブ歌手と思い込んでいた女性が、実は誇り高く激しく、圧倒的な歌唱力のあるオペラ歌手だとわかって、ヒーローのハートがズギューンと射抜かれたのではないでしょうか。（漫画では音が出ないのが残念。） 説明を聞くまでもなく、ヒーローは自分が間違いを犯したことに気づいた瞬間だったと思います。 ヒロインが自分の夢を犠牲にすることなく、ヒーローへの怒りや悲しみをむしろ自分の糧にして成功するストーリーが素晴らしいです。 富豪でハンサムなだけが取り柄のヒーローだけど、ヒロインを一途に愛して、音楽活動の良いパトロンになってくれるのなら、まぁかろうじて釣り合いは取れるのかなと思えるカップルでした。