以前読んでかなりムカつき、ヒーローを罵倒＆ちょろインを軽蔑したのに、時間が経ちまた読んでしまい、激しく後悔してる。この不快感は、ヒーローの浅はかな行動を誰も糾弾せず、さらに己も騙された被害者感を出していることに起因しているようだ。たとえ原作になかったとしても、弟や女医さんなど第三者がヒーローの罪を自覚させて、もっと反省する様子を描写したなら、だいぶこの漫画の印象は違ったと思う。

もっさり女子がイケてるチアリーダーに変身する本作。でも彼女の行動は所々矛盾してる。変身後近づいてきた異性に外見だけと憤るけど、自分自身だって化粧や服といった見てくれの変化だけで、己の能力に誇りを持てるようになる。そんな自己本位な点やアップダウンする自己評価が、かえってリアルな女性像を描いていると思いました。残念なのは大叔母達との関係。特に高校教師だった大叔母は、時に支配的な影響を及ぼしてきただろうに、その関係性の見直しは明示されなかった。きっと彼女の今後の課題なんだろうなぁ。ところで作中、社名や人名に既視感が。社長夫人が出てきたところで「熱いスクープ」のスピンオフだったことに気づきました。テスは同性から見たら、お嬢様というより頼れるお姉様なんだと感心した次第です。

HQにそれを言っちゃ御仕舞いなんだけど、この話、全くリアリティが感じられない。まずヒーローは有能な為政者なら、弟の為に政治的に彼を補佐できる同族の娘さん、もしくは同盟他国の重鎮のお嬢さんを嫁に推薦しなよ。初対面でヒロインの背景も何も知らず、めちゃ褒めてるけど、彼女のやってることは王宮への無断侵入、礼儀のない態度、法の手続きを無視したごり押しだからね。外国人でただの幼稚園の先生だったヒロインは、全く弟の力にならないと思うよ。そもそも余命の事を伝えるのは、ヒロインなんかじゃなくて、まず弟でしょ。それで仕事の引継ぎをしなきゃ、いくら部下がいても、いつかこの国滅びるぞ。ヒーローもヒロインも良い人ぶった自分勝手で、ファンタジーとしても受け付けられなかった。

ヒロインに始終ムカつきながら読んだ。この手の話を読む度に、性生活を含む己の価値が身内の犯罪の帳消しに釣り合うと、一瞬でも思えるのが不思議でならない。100万ドルの返済も、教師と酒場のウェイトレスで足りないなら、ヒーローではなく、一般人対象の性を売る店で稼ぐべき。他にも、酔った客への対応、路上喧嘩への乱入など、己の対処能力を超えることに首を突っ込み、結果ヒーローの優しさに頼りっぱなし。しかも親父の横領の原因を尋ねられて激高とか、身内や親しい相手のこと以外には想像力が働かない善良を装った浅はかさに、とにかくイライラした。

「NYアート系女子＆英国爵位男性」三部作の最後の話。にしては、ヒロインのお粗末感がひどい。誰がみても、結婚式乱入＆ヒロインにしか利益がない結婚継続は、ヒーローの愛情だって分かるでしょうに。というか、侯爵夫人としては子供向け美術教室を開くくらいしかしてないのに、あれだけの報酬が対価として貰える程、自分との結婚継続に価値があると信じられるのが凄い。容姿は「伯爵のかりそめの妻」のタマラに、性格は「公爵に捧げた無垢な恋」のピアに完全に負けてる。もうちょっと魅力的なヒロインでないと、ヒーローが彼女に惹かれる理由が実感できない。

ヒロインは、ヒーローが仕事にのめり込む理由が、「叔父から父の会社を取り戻す(当初)→それによって叔父を破滅させること」だと知り、ヒーローを冷たい人間と拒絶する。なんかさ、親族間での会社買収なんだから、はなっから復讐だって分かるよね？しかもヒーローが叔父から虐待を受けていた過去を知っても、復讐に身を落とす彼は父親に相応しくないとか、ヒロイン、もうちょっと想像力もとうよ。しかもヒーローが生家を自分好みに改装しただけで、良き家庭人になれるだろうとか、なんだか綺麗ごとばかりの薄っぺらい女性だと思いました。

HQではよくあるヒーローの誤解モノロマンス。終盤まで先入観や妹の甘言を信じるヒーローは、姑みたいな嫌味の連発で小物感ばりばり。そもそも祖母との交流って、両親が率先して行わなければ、孫自らがすることじゃないよね。とはいえヒロインもだいぶ微妙。事実と異なる悪評を流されても反論せず耐える。理解不能な理由で結婚を押し付けられても受け入れる。自己犠牲とか言い訳しない美学とか言い方もあるけど、私には、いつも周囲の状況に流され、自分の意見を主張しないで楽をする人に見える。妹も姑息で嫌な奴だけど、自分から何も努力しないように見える姉が、いつの間にか(性格が良いから)皆に好かれ信頼を得ている姿に不満を感じて、あんな嫌がらせをするんだろうと思った。

作中に実在者として天使が出てくる話はあまり好きではない。特にヒロインが天使で、無能にも関わらずキューピット役になり、数々の失敗＆迷惑行為をしながら無自覚にヒーローを誘惑するパターン(つまりこの話のヒロイン)は本当に苦手。この手の内容の嫌な所は幾つも挙げられるけど、とにかく一番言いたいのは、天使のくせに職務放り出して人間の男に盛るなよってこと。

話の筋は良かったのだけど、どうにも首を傾げる点が一つ。ヒーローはあんなに復讐に燃えていたのに、ヒロインがヒーロー父宅を訪れたのは自分の為と気付いただけで、父との確執が緩和され「ありがとう、父さん」に繋がるのが、さっぱり理解できなかった。もしかして、『自分を想って行動した彼女が事故にあった⇒神頼みするには善行しないとor彼女の願いを叶えたら元気になる？⇒父に感謝の言葉』なのか？ってそんな訳ない。この部分のヒーローの心の動き、誰か教えてほしいです。

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通常よりロング版なので、登場人物達の感情の流れが丁寧に描写されてるのが良かった。これで家政婦の姉弟への態度の差と友人達の破局原因があったならパーフェクトだったかな。マイナス要因は、生前の叔父の態度。もしヒロインの回想が真実なら、あれは不器用どころの話ではなく、親を亡くした幼子への精神的虐待を疑うレベル。さらに弟をあんな甘ったれにした責任は、家を出ていたヒロインより保護者だった叔父が負うべきで、その後始末を遺産を餌にヒロインのみに背負わせている点に納得いかなかった。あんな手のかかる仕掛けを残すくらいなら、生きてる内に行動で想いを伝えるべき。

最低な男しか出てこない、クズばかりの話。確かに性的欲望に負けそうになる時もある。でもそれは男の性だからではなく、人間性の問題で、不貞行為を選択しない男性だっている。ヒロイン父の糞みたいな弁明も軽蔑するし、ヒーローのセックス依存症的な行動も吐き気がするくらい気持ち悪い。ヒロインは不幸だな。身近にこんなダメ男しかいないと、異性に対する期待値がめちゃ低くなってるはず。美人で有能な彼女ならこの先もっとイイ男と出会えたと思うよ。

ヒーローは長年ヒロインとの約束を仕事を理由に破り、彼女の存在は己の中で一番重要なものではないと示してきた訳です。ヒロインだって社会人ですから、仕事では時に突発的な事故が生じることも、オーナーである彼の立場や責任も理解しているはず。けれどそれを踏まえた上で、自分の一生を捧げる相手として、彼の覚悟を見たかったのではないかな。だからこそ「賭け」だった訳だし、ヒーローの最後の捨て身？の行動で決意を翻したんだと思います。誰だって仕事は大切。でも本当に愛する家族を蔑ろにするほど？自分以外にその役割を代われる人はいない？順位をつけれない物事でも、両方に精一杯の誠意を示すことはできる、そんな話だと思いました。

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嫁姑関係から拗れた夫婦の再生物語。ヒーローの人物造詣がとにかく魅力的。星なんてなくても、常にキラキラして見える優男だけど、よくある王子様タイプではない。目的の為には策略をめぐらすし、基本丁寧で紳士的なのに、貴族的な不遜さが行動ににじむ。飄々としつつも、心では母親を愛せない己を欠陥人間と卑下してる。全然俺様Ｓキャラじゃない、でも優しいだけの男でもなく、髭面さえチャーミング。こんな人イイわー。対して、ヒロインは気が強く明るい善人タイプ。でも思い込みが激しく、異なる価値観を許容できないとこがある。誰が見たって、夫を見捨てたのは離婚を切り出した妻の方だし、頼まれてもいない毒親とヒーローの関係改善なんて、荷が勝ち過ぎてる。彼女の「親子は心通わすべき」という信念は、かなりヒーローを追い詰めたと思うよ。とはいえ、物語はとても丁寧に描かれ、飾らないヒロイン伯母さん、自然体なヒロイン元ルームメイト、そして仕草が超可愛い赤ちゃんと、キャラ皆に血が通っているように感じる。決してドラマチックな訳じゃない、でもなぜか心に残る、そんなお話でした。余談だけど、ウエイトレスはヒロインが学生の時にやっていたアルバイトでしょ。別に職業でもなかったのに、何度も「ウエイトレスの娘」呼ばわりは、変じゃない？

いろいろ設定が気持ち悪い話なのだけど、最も許せない点は、数日前まで麻疹で寝込んでいた産まれて数ヶ月の赤ちゃんを、保護者に無断で、大した準備もなく、雪降る外国へ連れ出したこと。しかもそれは、すでに鬼籍の祖母や母が開いてくれた「本当のクリスマス」を過ごさせるためって、アホか！本人も犯罪って認めてるけど、運が悪かったら殺人になってるくらいの話だよ。要するに、思い通りにならない現実を前に、赤ちゃんを攫って自暴自棄になったってだけ。しかも彼女の職業は保育士なんだよ！？ 赤ちゃんの伯父であるヒーローには、赤ちゃんと一緒にいたいからと結婚を申し出るし、行動もすごく厚かましい。一見無垢を装った、すごく厭らしいヒロインだと思いました。

旅先で運命の相手に出会う。シンプルに言えばそれだけなのに、ヒロインの祖先にまつわる謎やヒーローの過去のトラウマが、トルコという多国籍な世界観にマッチして、美しいお伽噺のような読後感を覚えます。ゴージャスな場面はあまり無いにも関わらず、王朝物みたいな印象を持つのは、繊細な表紙のおかげかな。また汐宮先生の描く男性はいつもとても素敵ですが、今回のヒーローは特にイケメンだと思いました。そして「砂漠で恋に落ちて」シリーズの一つなので、最後に他の話のヒーロー＆ヒロインズが出てくるのも嬉しい。こうなったら残り一人の男性のお話も、ぜひ汐宮先生の絵で読みたいです。

ヒーローのヒロインに対する行動が、パワハラのセクハラの人権侵害。HQにはヒロインの弱みを握って性的関係を強要するヒーローがほんと多いけど、それって犯罪だからね。このヒーローはそいつらの中でも特に最悪なレベルだと思う。こんな男に惹かれるヒロインはやっぱり浅はかでしかない。

ハーレでは好意ある相手へのアプローチとして、同意なしのキス、立場を利用した恋人関係の強要なんかが、日常茶飯事みたいに描かれるけど、なぜか許せるヒーローと絶対許せないヒーローがいる。この話の男は後者で、行動すべてが下劣なセクハラ・パワハラに見えて、とても不快だった。あんなヒーローに惹かれるヒロインを全く理解できない。

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ヒーローは人格破綻者のアダルトチルドレン。『妊娠を告げたヒロインを容赦なく捨てる。子供を見た途端単独親権を要求。共同親権に変更するが、途中で放棄』など子供に対する行動に一貫性がなく、よくこれで社長が務まると驚愕するレベル。ヒロインはそんな彼のトラウマや胸の内をカウンセラーレベルで推察するけど、同じ情報を得てる読者は、全く納得できない。彼女の優しさ？も彼への愛情というよりは同情のようで、心の底ではいつも損得を計算しているように感じる。しかも話の筋道は途中でよく判らなくなるし、ＨＱに期待するロマンスも感じられない。最後に二人が抱き合う姿を見ても、すぐにまた別れるだろうとしか思えなかった。

消せない過去に素性を隠していたヒロインと不本意な家族の行動から世間に背を向けていたヒーローが出会い、成長し、世界と対峙していくお話。ヒロインは物語りの中では美人設定だけど、イラストとしてはめちゃ普通(山下先生の普段の美女は、もっとゴージャス)。でもそれが、お騒がせセレブと揶揄された過去を悔い、堅実に仕事へ取り組む姿勢をうまく表しています。ヒーローも伯爵は名ばかりで、学問好きな常識ある紳士。そして何よりヒロインの家族がイイ。特に「(自分達家族は)実際完璧だし、愛しあってるから仕方ない」とさらりと言ってしまう母がにくめない。彼らの、『他人が何と言おうと自分を評価するのは自分だ』って姿勢は、読者にまで勇気くれると思いました。

多くの方が書かれているように、読者はヒーロー目線で読み始めてしまうので、祖父とヒロインの行動や考え方の非常識さに、怒りしか湧きませんでした。ヒロインの初対面の態度も最悪だし。祖父は自分の世話をする人間を家族として手元に置きたいのならば、ヒロインを養子にすればよいだけなので、ヒーローの人格と尊厳を無視したこの偽装結婚は、もはや年寄りの我が儘にしか思えませんでした。

高評価のレビューに期待値が上がってしまったのか、読後もやっとしたものが残ってしまった。ヒロインも周囲の人たちも、皆いい人で、特にヒロインは不幸な過去など気にもせず前向きで思いやりがあり、一途。ほんとにすっごくイイ娘。やってることが、ヒーローを騙すことだと知っていても、親身になって応援したくなる。という訳でこの話のひっかかりは、全てヒーローに起因するようだ。幼少期に親の愛情を得られなかったからって、それが女性を物のように扱う事の免罪符にはならないよね。ヒロインを追い出した後も、ヒロインは彼の事を思い謝罪と素敵な贈り物をするけど、ヒーローは自分が寂しいってことばっかりで、妊娠初期の彼女の体調とかを、ちっとも気にしてないし。ヒロインの深い愛情を受け取る相手としては、ヒーローはちょっと不満が残るのだと思う。HQの中では平均的なダメ男なんだけどねー。今回は女性側が素敵すぎたみたいです。

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ヒーローが婚約を言い出した理由が、昇進の為ではなく、(煩わしい女達のアプローチに辟易して？)落ち着きたかったからというのが、彼の間抜けさをよく表してる。傍から見れば、ヒロインの行動(知らないうちに同じ会社に就職、幼馴染ポジションを利用して周囲を牽制とか)も大いにウザイ。それでも、あの行動を嫌悪せずに、婚約者にヒロインの顔が浮かぶなんて、彼女を心の奥底では愛していたようなものではないか。後にヒーローは、あの時点で恋愛感情はなかったが、『ハネムーンキャンセルで怒った姿に初めて惚れた』とか言う。でも普通、怒り心頭でギラギラしてるような女に恋するなんて、ナイよ。要するに、自分の感情や恋というものに、すごく疎い残念なヒーローだったという話。それから最後が駆け足で、その点もマイナス。

この原作者、なぜ金太郎飴の色違いみたいな話しか書けないのに、ハーレの作家さんを続けられたのでしょう？ 世の中には「鉄板」とか「王道の様式美」なんて言葉もあるので、たまには似た話があってもいいですよ。でもこの方、登場人物の性格、立場、職種、舞台が、あまりに同じすぎる。しかもこの話のＨ＆Ｈは、マンネリ登場人物の中でも、一位二位を争う、華のなさ。あまりにパッとしなさすぎて、全く素敵に思えない。ストーリーも、最後が駆け足展開で、いきなり家を買ってヒロインの召使にプレゼント。ヒロインはヒーローのモノって。読者が置いてけぼりすぎるー。大いなるマンネリズムでも、せめてもう少し読ませてくれなきゃ、納得できません。

モデルっぽいキツめ女性を描かせたらピカ一の横井先生。この話はさらに、知性を感じさせるエロと見え隠れする純粋さがうまくプラスされた、非常に魅力的なヒロイン像になってる。こういう人が、男はちょっとヒクけど同姓から支持される女なんだよね。それに比べると、ヒーローはちょっとおっさん度が強い。渋いけど、ややトキメキに欠ける。そして年が離れた大人なら、独占欲からヒロインのエロ前面作戦を批判するのではなく、本人が少し背伸びしてる点で、彼女を説得してほしかったよ。

結局のところ、ヒロインが美人でヒーローに好感を持ってもらえたから良かったものの、彼女のしたことってほぼストーカー。一度断られているのに、勝手に病院に押しかけて、事故で記憶が曖昧なヒーローに婚約者として誤解させるとか、後々訴えられても仕方ないレベルだと思う。彼女のサイコチックな恐ろしさを、昭和っぽい絵柄がさらに助長させていて、恋愛というよりホラーっぽい雰囲気を感じてしまった。

元々、入れ替わり物語は好きじゃない。そんな苦手なスタイルの中でも、特にこの話はヒロインに並ならぬ嫌悪感を持った。その理由を考えてみると、１．「愛してしまったから仕方ない」と、謝罪もそこそこで、いい訳ばかり。２．nanaさんが指摘するように、ヒーローの言葉尻から、自分に都合が良いように妄想するサイコ的性格。３．バレるまで、嘘によって築いた現状への不安を感じておらず、嘘をつくことへの罪悪感が低い。この話、ヒーローも嫌な奴で、結果的に割れ鍋に綴じ蓋な夫婦なんだけど、ヒロインから感じる嫌悪感を前に、ヒーローの駄目さがすっかり霞んでしまった。