と、酸いも甘いもかみ分けた大人の男のお話です。こういうヒストリカルを、この作者はいくつか描いていますが、どれもうまくまとまっていると思います。共通点は、打てば響く頭の良さと精神の闊達さに、男性が惚れるってところなのかなぁ、と思います。つまり、よく考えてみれば、現代欧米型女性を全面的に肯定する内容なんですよね。 表紙の女性が妖艶な雰囲気に見えたのですが、中身はちょっと違います。

これ自体はそれなりに整合性があったようにも思うけれど、ヒーローと同僚との何かわけがありそうな関係が最後までよくわからなかったし、シリーズとしてもつながりがわかりにく過ぎ。またこの著者は、よく意味ありげな目のアップを使うけれど、何か裏の考えを含ませた絵なのかと思って張りつめた気分で読んでいくと、別に何も意味はなかったらしい、という肩すかしが多く、読んでいて疲れます。理由もなく意味深な目のアップを描くのはやめてほしい。

なんだか絵も筋もチープな流れに感じました。心の動きにもついていけなかった。両親の急死に際して、お葬式で「失恋してしまった」と泣くヒロインにも引いたし、ヒーローの母親が二十台にしか見えないのってどうよ、と思ってしまって。

ヒーローの感情がどこにあるかわからなくて、終わり近くまで、ヒロインと一緒にむかっ腹を立てたくなりましたが、最後は意外に、爽やかな終わり方で良かったです。ところでカンナさん、エミリーはゲイブの名付け親ですよ。名付け親というのは、クリスチャンの場合、代母のようなもので、子供の両親に何かがあった時には責任を持つ立場にある人です。夫婦の親しい友人だったり、親戚だったりします。日本では馴染みのない概念ですが、欧米ではかなり近しい関係にある人という認識です。

ずっと持ち続けてきた主義そのものもどうかと思うけれど、それをベースに研究もし著作も発表してきた心理学者が、苦悩もせずにこんな一瞬で主義を脱ぎ捨ててしまっていいものでしょうか。話の筋よりそっちのほうが気になりました。まぁ、話の内容は漫画家さんの責任でないとしても、絵もＨＱには合わないのではないかなぁ、と思ったりします。Ｈ／Ｈどちらも魅力的に見えません。

二人が同じ方向を向いているこの表紙が、中身をよく物語っていると思います。絶望を経験したヒーローに、薄倖の半生を送ってきたヒロインが、静かに寄り添い、気持ちを解かしていく様子を描いた作品です。二人で見つめあう激しい恋というのではなく、一緒に人生を幸せを不幸をも見ていきましょうという絵だと思います。静かだけれど、心に沁みる内容で、この著者の絵にぴったりです。バックの風景も良いですし、正装姿を描くのもうまいですねぇ。

絵は丁寧だし、女性も男性もそれなりに魅力的に描けていると思います。ただ、他の方も書いているように、一目ぼれしたといわれて、前のほうを見直してみても、ちっとも納得がいかないかも、という感じはしました。ところで、このヒロインの妹二人（双子という設定で、サファイアとルビー）のうちサファイアは、『宮殿に囚われて』（『愛されぬ妻』と連係している作品）のヒロインなんですね。この作品では22歳ということだけど、あっちはいくつの時の話だったかな～。もう一人の妹ルビーの話もあるんでしょうねぇ、きっと。

他の方が書かれているように、確かに絵には難があるというか、私も好みではありません。男性の絵はそれなりに素敵だと思うし、目の表情もうまいと思うのですが、女性があまり魅力的に見えないのは本当に残念です。文章を読んで「そうか、彼女は美人なんだ」と思わないと美人に見えてこないのですよねぇ。 ですが、構成や、台詞選びは、文句なしにうまく、スムーズに読み進めることができます。読ませるお話に仕上がってると思います。 本筋とは関係ないですが、安い施設に入れられたお祖父さんの様子には胸が痛みました。

しゃりりさんの疑問、わかるような気がします。私もこの題名に惹かれて読んだ口。「愛さえあればすべてうまくいく」というのが専売特許であるHQで、敢えて「愛さえあれば？」と疑問詞をつけた本作の筋がどう進むのか興味を持ちました。結局のところ「正直に自分の思いを伝えておけばよかったんだ」というある種アメリカピューリタン的な価値観でまとめられているのは、他の作品と似たり寄ったりで（まぁ、ハッピーエンドが約束事になっているHQなんだから当たり前といえば当たり前ですが）、でもできれば、もうひと下げするか、もうひとひねり欲しかったかなぁ、という気がします。この辺が限界なんでしょうかね。

なんでこんなに評価が良いのかわからない。絵はきれいだし、衣装なども雰囲気よく描かれていると思うけれど、心の動きの描写が乏しすぎて、話に入っていけなかった。

文字通り面白いです。最初から最後までテンポが良くて、とどまるところを知りません。かなり多くの登場人物が出てくるのに、全員しっかり特徴が描かれていて、唐突な感じもしなければ、あれ、これ誰だっけ？とか、この人、影薄～い、ということもありません。このページ数でこれだけの内容を、だらけさせもせず、端折りもせずまとめられるのって、すごい！と思いました。

脇役二人（ヒロインの友人とその従兄）が結構光ってました。スピンオフでもあるのかな？精神的にも無垢であるヒロインがよく描けていたと思います。ただ、意地の悪い義妹を持つことになるわけで、このあと、大丈夫なのでしょうかねぇ。3.5点くらいの4点です。

大人の恋愛模様という感じで、私は結構好きです。いろいろ登場人物が次から次へと出てきて、最後は忙しい感じもしますが、ちゃんと前もって伏線も張られているし(ヒロインの元旦那とか）、それほど唐突には思わなかったかな。ページ数もう少し多くてもよかったかなぁ、とも思うので、3.5点くらいの気持ちの4点です。

ヒロインのしっかりした性格はしっかり描かれているし、ヒーローも卑屈なところがなく好感が持てます。でも、こんなに簡単に身分＋国籍文化の違いをなしにできるものなのでしょうかねぇ。いくらHQとはいえ、あまりに安直な解決に、手放しでよかったよかったという気分にはなれず、です。

後味爽やかなお話です。ラテン系憎めないプレイボーイのヒーローと、犬好きで仕事熱心なヒロイン。一緒に問題児の犬の世話をするうち、お互いの良さを発見していくストーリー。面白かったです。

二巻にも及んでいるにも拘わらず、ダイジェスト版でも読んでいるような気分になる慌ただしさはなんなのか。。ちっともお話に入っていけなかった。

ヒーローもヒロインも、もちろん人間ですから完璧ではないのですが、とても素直な心を持っていて、読んでいて、優しい気持ちになれます。二人を結びつけたおじいさんの亡くなる場面をパーティーの模様で表しているところなど、舞台を見ているような気分になりました。絵だけで多くのものが伝わってきます。

けなげなヒロインを描くの、うまいですよねぇ。ヒロインに家族ができて、本当に良かったと思うお話でした。ただ、欲を言えば、あと数ページ足して、二人の愛が育まれる過程を描いてもらえたら、尚のこと良かったかな～。

さっぱりとして明るく楽天的なヒロインと、一見クールなヒーローのお話。ヒーローのまなざしの描き分けがうまいです！「やばいな、こんなはずじゃなかったのに」の目はとてつもなくセクシーだし、最後のまなざしは愛情にあふれているのが一目で分かる！普段ポーカーフェイスな分、効果的ですねぇ。

何度読んでも読むたび感動のファンタジーです。HQらしくないといえば、そうかもしれないけど、この「引き込む力」はすごい。絵の感じと、お話のノスタルジックなファンタジー度がとてもよく合っています。

立ち読みあたりではまだ気にならなかったのですが、ノリがあまりに独特で、他の方の評価を読んで納得。確かに、少年コミックのノリなのかも。どうしてそういう流れになるのか？？という場面が多く、感情移入できないですね。

他の方が書かれているように、ストーリ自体にも無理がありすぎですが、絵もついていってない感じ。ヒーローは、中学生か！と突っ込みたくなるほど幼く女顔。お互いどこが良くて惹かれたのかちっともわからないまま、いつのまにかくっついてて、わけがわかりませんでした。

父の遺言シリーズ、第三弾。一番感動したのは、長男の話だったかな。これはこれで、よく描けています。それにしても失った11年は痛い！この著者の描く人物は魅力的で、特に私は目の表情が好き。会話のテンポも上手です。ただ、以前の作品より線が太くなってきたように思うのは気のせい？全体的にもう少し細い線で描いてくれるともっと素敵かなぁと思うのですが。あとがきが良いですね！

ヒロインのひたむきさと、ヒーローのまっすぐさが、絵とマッチしていていい作品です。ほとんど会話のある登場人物はH/H二人だけという状況なのですが、不自然なところがありません。会話のテンポもヒロインの頭の回転の良さがよくわかるし、素敵な女性なんだなぁ、と思わせます。よく髪型、化粧、衣装が変わって変身したヒロインにヒーローが目を向けるという話がありますが、それとは違って、見た目は同じなのに、ヒロインがどんどん魅力的に見えてくるのが不思議！また、そういうヒロインに惹かれるヒーローにも好感を抱きました。この著者の絵は、男女ともHQにぴったりな大人の魅力がありますね。

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この著者の絵は、女性の手足が小枝のようで、最初は苦手だったのですが、だんだん魅力的に見えるようになってきました。特に目の表情が良いですね。多くの作品と同じように、傲慢なヒーローと、素直でやさしい心を持ったヒロインの話です。ヒーローの心が徐々にほどけて行くのがよく表現されていました。

ヒロインの心を反映してか、しんとした冷たさが底に流れているタッチの作品です。ヒーローが、ヒロインを愛するようになって、表情がどんどん変わって来るあたり、とても上手に描かれています。その分、ヒーローの心の痛みが想像できて、読んでてちょっと辛かったですが。

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主人公の軽妙なやり取りの呼吸を、表情でよく表現してある作品。何度も読み返したくなります。少女マンガ風ヒーローやヒロインと違って、実物大の魅力ある人物像が描けています。私が初めて満点をつけた作品です。今読んでも、やっぱり藍まりとさんの漫画の魅力が一番出ているもののひとつだと思います。